ちくわのぴょんぴょん読書日記 ~読書・読書会・哲学カフェ

読書・読書会・哲学・哲学カフェが好きな人間のブログ

主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「居場所がないのがつらいです」 高橋源一郎

<家族は、たまたま乗り合わせた船>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。

 

内容<amazonより>

「生きているのがむなしいです」「妻が家を出ていった」「パパ活する女性、許せない」など108の悩みに作家・タカハシさんが寄り添います。
毎日新聞「人生相談」書籍化第2弾!

わたしたちにとっていちばん大切なことは
「自分の人生」を生きることだと思います。
(本文より)

目次
I 生きているのがむなしいです
II 息子が自死、立ち直れず
III 妻が家を出ていった
IV 新婚の家が落ち着きません
V 人を信じても裏切られる

◆この本は

ボリューム:★★★☆☆(普通)

読みやすさ:★★★★☆(読みやすい)

楽しい  :★★★☆☆(重い話も多いですが)

お役立ち :★★★★☆(自分に置き換えて)

 

離婚、ギャンブル、借金、引きこもり。

あらゆる自分の経験からの回答は説得力があります。

「普通です、そのままでいいじゃないですか。」と「あなた、何をしているんですか、さっさとやめなさい。」のどっちかなのも、すがすがしいです。

 

◆内容紹介・感想

この本は、毎日新聞で7年間、300本以上の人生相談をやってきた高橋源一郎さんの珠玉のエッセイ集。

 

寄せられるのは、死にたい話、子どもの悩み、夫婦間の問題、親の悩み、人間関係の悩みなど、なかなかに重たい話もたくさんあります。

 

対するのは、ギャンブル中毒や離婚、借金、引きこもり、など、ありとあらゆる経験をしてきた筆者だからこそ書ける、説得力のある言葉が多いです。

 

私が最も印象に残ったのは、やっぱりこの言葉です。

家族は、たまたま一隻の船に乗り合わせた乗員に過ぎません。

 

家族の悩みがけっこう多く、これはこの本に何度か出てくる表現ですが、こう考えることで、「家族」の悩みへの向かい方が見えてきます。

 

結婚して新しい家庭(船)を作る。子どもが船に乗ってきます。

子どもだって乗組員なので、船のルールに従い、助け合って船を運航していかねばなりません。ルールを逸脱する行為を繰り返すようであれば、下船いただかなければなりません。

そして、子どもはある時期になると、新しい船に乗るためにその船を降りなければなりません。

残された親は、それぞれ人生に別れを告げ、船を降り、その船はやがて役目を終えます。

詩的な表現ですが、家族は最も身近で最も小さい社会と言われるので、そこでの振る舞い方を大切に考えたいですね。

 

何度も書かれている、「親は、子離れしなくてはいけない」という表現。

子が親離れできない、親に寄生しているという問題はよく聞きますが、親が子離れできていないという問題も同時に発生していて、普通に多いのではないかと思いました。

子どもはやがてこの船を降りて新しい船を作るのを、静かに見守って応援してあげなければいけないんですね。

 

そして、子どもをしつける、子どもを立派な大人にする、という変な義務感は要らないということもしばしば言っています。

 

そのままでいいじゃないですか。

子どもはあなたの持ち物ではありません。

それって、ものすごく普通なことですよ。

 

「うちの子は、親に感謝がない」という悩みがありました。

これに対しては、お門違いもいいところです、と返します。

すごく、同意ですね。

自分たちが産んだんだから、親が子どもの世話をするのは当たり前で、どうして感謝を「求める」必要があるのでしょう。

むしろ、自分たちに幸せを与えてくれている子どもに対して、感謝しかありません。

 

気付いたら、親子のことばかり書いていました。

 

親子以外のことも多く書かれています。

「やりたいことが見つからない」という悩みに対して、「とても正直で、何の問題もありません」という答えなんか、印象的です。

 

その方は、「『なりたい姿』を見つけないといけない」という価値観に対してしっかり疑問を持てている証拠ですね。

近くにある「キラキラしたもの」に飛びつくのも無しではありませんが、自分でこう言えるのも確かに好感が持てますね。

 

といった調子で、時に優しく時に厳しく、時に鮮やかに時に曖昧に、お悩みに答えていきます。

なかなか辛いのも多いですが、そのぶん得るものもありましたね。

 

以上で、「居場所がないのがつらいです」の感想を終えたいと思います。

ありがとうございました。

では、また!