<事前情報無しで読むのが、いちばん面白いように作られています>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
グレースは、真っ白い奇妙な部屋で、たった一人で目を覚ました。ロボットアームに看護されながらずいぶん長く寝ていたようで、自分の名前も思い出せなかったが、推測するに、どうやらここは地球ではないらしい……。断片的によみがえる記憶と科学知識から、彼は少しずつ真実を導き出す。ここは宇宙船〈ヘイル・メアリー〉号――。
ペトロヴァ問題と呼ばれる災禍によって、太陽エネルギーが指数関数的に減少、存亡の危機に瀕した人類は「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を発動。遠く宇宙に向けて最後の希望となる恒星間宇宙船を放った……。
『火星の人』で火星の、『アルテミス』で月での絶望的状況でのサバイバルをリアルに描いた著者が、人類滅亡の危機に立ち向かう男を描いた極限のエンターテインメント。
◆この本は
ボリューム:★★★★★(上下巻合わせると長いです)
読みやすさ:★★★★☆(読みやすい)
展開の上手さ:★★★★★(とにかく飽きさせない)
ハラハラドキドキ:★★★★★(無理難題が多すぎる)
どこかの密室で昏睡状態から目覚めた主人公。
しかし彼は、とんでもない使命を背負って宇宙へ送り出された英雄だった?
主人公の軽いノリが楽しく、科学ネタが随所に絶妙なトリックとして活かされていて、唸るような展開の上手さです。
◆内容紹介・感想
この本は、表紙にあるように、宇宙モノのSF。
一言でいうと、メチャクチャ面白かったです。
ブックレビューでも「一気読みした!」というコメントもあるように、とにかく構成が上手く、読者を飽きさせないようにできています。
構成の話で言うと、宇宙船にいる現在のシーン=本線と、宇宙に行くまでの経緯=過去の回想の2ラインで構成されています。
そして、この物語の始まりが、主人公が、真っ白い奇妙な部屋で目覚めるところから始まるというところです。
そしてこの主人公は、自分はなんという名前で、何をしているのかが全く思い出せません。
まぁ、この場所が宇宙船の船内であるということは、しばらくすると気付き、徐々に仕事や名前も思い出してくるのですが、
これがポイントで、読み始め特有の「登場人物の名前と特徴を覚える」作業がこの本には必要ないんですね。
読者は、主人公と一緒になって、ちょっとずつちょっとずつ主人公について知っていき、登場人物も1つの章に1人ずつぐらい新キャラが出てくるので、ストレスなく人物を知っていくことが出来るんです。
いよいよ物語の内容に入っていきますが、実はこの本は、一切の事前情報無しに読んでいくほうが、いちばん面白いようにできています。
主人公とともに、どうしてこの宇宙船に乗っているのかを思い出していき、そして主人公と一緒にさまざまな困難に立ち向かっていくことを楽しんでいくからです。
ですので、本当にこの本を読んで楽しみたいという方は、このブログの文章なんか読まずに、今すぐ本を開いていただきたいと思います。
実は「宇宙船」と書いてしまいましたが、主人公がいる場所が宇宙船の中だという事実も、実は第2章までわからないのです。
主人公は室内の実験器具を使うことで、ここが宇宙船であり、宇宙空間を飛んでいるということを知る過程も、楽しみのひとつだからです。
そして、この物語の別の楽しみが、科学描写にあります。観察や実験、トライアンドエラーを繰り返すことで、主人公が危機を乗り越えていったり、また危機に遭遇したりする仕掛けも科学的なものであったりします。
また、宇宙船の構造からして、なかなかにぶっ飛んだ科学説明ですよ。
そういえば、この本の作者アンディ・ウィアーは、映画「オデッセイ」の原作「火星の人」を書いた人として有名です。この話をすると、映画を観たことある方は、本の雰囲気をイメージしやすいそうです。
そして、読み進めていくと、地球にはひとつの大きな危機が訪れようとしていて、主人公のグレースはその問題を解決すべく、宇宙船に乗り込み、危険なミッションに挑んでいくのだということがわかってきます。
上巻は、このミッションの概要がわかってきて、この宇宙船がどんなものか、知っていくことになります。
そして、それはなかなか桁外れな設定なんです!スケール感半端ないです。
下巻は、いよいよこの物語の核となる「未知との遭遇」です!
では、今日はこの辺で。
では、また!