<謎解きも一級品、最後には静かな感動が待っています>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
「それが、ここに流れてるあたしたちの血。あたしたちは無法者なの」
アメリカ、カリフォルニア州。海沿いの町ケープ・ヘイヴン。30年前にひとりの少女命を落とした事件は、いまなお町に暗い影を落としている。
自称無法者の少女ダッチェスは、30年前の事件から立ち直れずにいる母親と、まだ幼い弟とともに世の理不尽に抗いながら懸命に日々を送っていた。
町の警察署長ウォークは、かつての事件で親友のヴィンセントが逮捕されるに至った証言をいまだに悔いており、過去に囚われたまま生きていた。
彼らの町に刑期を終えたヴィンセントが帰ってくる。
彼の帰還はかりそめの平穏を乱し、ダッチェスとウォークを巻き込んでいく。そして、新たな悲劇が……。苛烈な運命に翻弄されながらも、 彼女たちがたどり着いたあまりにも哀しい真相とは――?
人生の闇の中に差す一条の光を描いた英国推理作家協会賞最優秀長篇賞受賞作。
◆この本は
ボリューム:★★★★☆(厚め)
読みやすさ:★★★☆☆(登場人物が多いので頑張らないといけません)
楽しさ :★★★★☆(謎解きはそこそこ難しい)
感動 :★★★★★(静かな感動です)
原題「We begin at the end」=終わりから始まる。
終わってみれば、主人公の2人だけでなく、皆、ラストシーンのために行動してたんだということがわかります。
ボタンの掛け違いみたいな歯痒さばかり募るストーリーでしたが、良く練られていて、私はとても好きです!
◆内容紹介・感想
この本のストーリーの軸は、2人の主人公、ケープ・ヘイヴンの保安官、ウォークと、苦労の少女、ダッチェスの周囲で次々と起こっていく事件の謎を解いていくミステリーです。
13歳の少女ダッチェスは、精神が不安定で定職に落ち着かない母、スターと、5歳の弟、ロビンを抱え、家も貧しく「無法者」に生きないとやっていけません。
物語は、保安官ウォークの少年時代から始まります。
ウォークと、ダッチェスの母スター、と、ヴィンセント、マーサの4人はここケープ・ヘイヴンで幼なじみ。
そんな中で、ヴィンセントがスターとドライブ中、車でスターの妹をはねて死なせてしまう、そんな悲劇が起こります。
時は進んで、30年後。
過失致死と、ムショ内での犯罪もあり長く刑務所に入っていたヴィンセントがケープ・ヘイヴンに帰ってきます。
旧友の保安官ウォークは、身寄りのないヴィンセントを気にかけ、さらに、アルコール中毒気味のマーサのことも心配な忙しい日々。
いっぽうダッチェスは、水商売をやっている母スターは酒と薬でおかしくなっているので、家や弟のことをひとりでやっていかなければいけない孤独で苦労の日々。
そんな中、母スターが働いているバーのオーナー、不動産屋のダークとそのバーでトラブルがあったようで暴力沙汰になります。
傷つけられた母を見て、ダッチェスはダークに仕返しをすべく、夜中に家を抜け出しバーに放火してしまいます。被害を被ったダークは、放火がダッチェスの仕業とみて、ダッチェスを脅します。
そうこうしているうちに、母スターが殺害されてしまうという悲劇が起こります。
という感じで、第一部が進んでいきます。まだまだ序盤ですが、かなりの出来事が起こっています。
果たして犯人は誰なのか。最初に疑われるのは、当事者のダーク、ムショ帰りのヴィンセント。またマーサに好意を抱いていた隣人などもいます。
母を失ったダッチェスとロビンのきょうだいはその後どうなるのか。
ウォークはこの子どもたちを守ることができるのか。
この物語の邦題「我ら闇より天を見る」というと、ちょっとピンときませんが、原題の「We begin at the end」=「私たちは終わりから始まる」、という言葉の意味は、この物語をすべて読み終わった時、ズシンと胸に響きますよ。
そんな、謎解きも感動も一級品の名作ミステリーでした!
「ネタバレ控えめの紹介」は以上です。
「ネタバレを含んだ感想」は、日を改めて書いていきたいと思っています。
では、また!